2020/04/21 16:27

【遠い国に思いをはせること】

日本の歴史を勉強するのにもこんなに時間がかかるので、他の国の歴史なんてあまり考えることがないのが一般的だと思いますが、
クラシック音楽とコーヒーを勉強していると、色々な国の歴史に出会います。
もちろんそれぞれの分野について、なのですが、「文化は世相を映す鏡である」と教えてくれた中学の社会の先生の言うとおり、音楽もコーヒーの文化も、その時代によって影響され移り変わっていきます。

minne マンデリン

【インドネシア・マンデリン・トバコ】というコーヒーの銘柄はコーヒーの中ではかなり知名度の高いものだと思います。
さてトバコってなんだ?地名っぽいですよね。
インドネシアのスマトラ島にある湖の名前なのです。湖の名前は「トバ」。なので「トバ湖」と表記するのが正解です。
もともと17世紀にオランダ人がインドネシアを植民地支配するときに、「アラビカ種」の中でも大粒の「ティピカ種」を持ち込んだのがマンデリンのルーツです。
植民地支配が広がると同時に、コーヒー栽培も広がり、ティピカ種の大きな産地になるのですが、20世紀になって「さび病」という病気が蔓延し、大多数のインドネシアのコーヒー農家は「アラビカ種」から「ロブスタ種」の栽培に移行していきます。

コーヒーには主に二種類ありそれがアラビカとロブスタなのですが、ロブスタというのはベトナム戦争の枯葉剤をまききった大地にも生えてくるようなもの凄く強靭で、そして増える、雑草のようなコーヒーです。(缶コーヒーに使われたり、コンビニのコーヒーはほぼこれです)
アラビカ種はいわゆる「スペシャルティ」と呼ばれる、非常に栽培の難しい、しかしきちんとしたコーヒーの種類です。

欧米のコーヒーの需要が高まるにつれてロブスタ種は多く求められるようになりました。美味しさは別として、栽培の難しく、少量しか取れない苗よりも、栽培が比較的簡単でたくさん取れるコーヒーの方がもちろん商売としては取り扱いたいものですよね。

マンデリン説明

しかしその中で、ティピカ種を守り続けたのが、リントン地区からこのマンデリン地区の「バタック人」たちでした。
わたしたち『クレモナ』が取り扱っている【マンデリン・トバコ】はこの守り抜かれた伝統の「ティピカ種」を選んでいます。

マンデリンカッピング

気になるその味は…というところですが、トバ湖というものすごく大きな湖の回りにある斜面に植わっているので、雨が多い地域のわりに、晴れればかなり強い照り返しがあります。雨も太陽の光もさんさんと浴びて、すくすくと育っているこのティピカ種は「アーシー(earthy=地球らしさ)」と呼ばれる「大地のかおり」が非常に強いです。有機野菜の味の濃さってあるじゃないですか。コーヒーも同じであの色んなかおりがブレンドされたような濃さが口の中に充満するかんじ。
マンデリンを深煎りにするのは結構らくちんですが、『クレモナ』はあえて中煎りにして、味わいよりもそのかおりをお届けすることを大切にしています。ぴりっとコショウのようなスパイシーさもあって、後味はなめらか、そしてえぐみが残らずにすっきりと飲んでいただけます。

こんなにたくさんコーヒーが消費される時代になって、色んなコーヒーが出回っている中で、せっかく守り抜かれたティピカ種だからこそ、『クレモナ』はみなさんにこの味をお届けしたいと思っています。

ぜひお試しください。

2020年4月21日(火)

ルークカフェ・ローストラボ・クレモナ コーヒー主任焙煎士
ぴかりん

大阪府池田市満寿美町13-7
072-752-7188